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2025-09-29 ニュース
幻の恵水プロジェクト~2025年~
全国屈指の梨産地・茨城県が取り組む「幻の恵水プロジェクト2025」
全国屈指の梨産地である茨城県。
その中でも、県オリジナル品種「恵水(けいすい)」は、大玉で糖度が高いことが特長です。
この恵水のトップブランド化に向け、県と梨生産者たちは、1万果に1果と言われるほど希少な「幻の恵水」(重さ1kg以上、糖度14度以上、外観が優れるもの)の栽培に挑戦する「幻の恵水プロジェクト」を2022年に立ち上げました。
生産者のプロジェクトにかける強い想いが実り、初年度の2022年以降毎年恵水の栽培に成功し、昨年度は高級果実専門店の「京橋千疋屋」及び「伊勢丹」にて 1玉 10,800円 で販売されました。
恵水のトップブランド化に向けた強い想いを胸に、その後も新たな生産者が加わり、今年度も引き続き「幻の恵水」の栽培に挑戦しています。
「幻の恵水プロジェクト2025」梨生産者 (左から)塚田 祐貴さん(JA常総ひかり)・飯村 栄さん(JAやさと)・松本 幸哲さん(JA北つくば)・
「恵水」とは
茨城県オリジナル品種の梨「恵水」は、茨城県農業総合センターの研究者や技術者がその技術力を結集し、品種開発に取り組んで17年、約4,300個体の中から選んだ品種です。
以来、高品質な果実を作るために生産者と一体になって栽培試験を繰り返し、平成23年(2011年)に品種登録されました。
平成25年(2013年)から県内で栽培が開始されて以降、年々栽培面積が増えており、おいしい果実がみなさんに届くようにと、大切に育てられています。
「幻の恵水」とは
「幻の恵水」は、大玉で甘いという恵水の特長を最大限に引き出した、1玉の重さ1kg以上、糖度14度以上で外観が美しい、1万果に1果のレベルでしか収穫できないとされる希少な恵水です。
2022年の取組みについてはこちらから
https://www.ibaraki-shokusai.net/season/keisui_pj/
2023年の取組みについてはこちらから
https://www.ibaraki-shokusai.net/season/keisui_pj2023/
2024年の取組みついてはこちらから
https://www.ibaraki-shokusai.net/topics/detail/18146
「幻の恵水」プロジェクト~2025~
【生産者対談 「幻の恵水プロジェクト」にかける想い】
今年の「幻の恵水」プロジェクトには、3名の生産者が挑戦しています。
初参加となる塚田祐貴さん(JA常総ひかり)、3年目の挑戦となる松本幸哲さん(JA北つくば)、そして最も長く携わり今年で4年目を迎える飯村栄さん(JAやさと)です。
それぞれの立場から、このプロジェクトに込める想いや取り組みについてお話を伺いました。
他の梨と比べた「恵水」の特徴や魅力は?
飯村 栄さん(JAやさと)
塚田さん:恵水は色や形も良く、収穫量も多い、まさに高品質な梨。農家目線で言えば、炭そ病などの病害が多く、生産者の技術や努力が不可欠な難しい品種です。しかし、幸水のように果実の成長・肥大促進を目的としたジベレリン処理が不要で、摘果作業だけで大玉に育つという特徴も持っています。
私自身、これまでの人生で食べた梨の中で最高の逸品だと確信しています。大好きな恵水だからこそ、自信と丹精を込めて皆さんにお届けしていますよ。
松本さん:恵水は茨城県内でのみ栽培されており、まだ生産数が少ない新品種です。そのため、流通量が限られている希少な梨として、その入手困難さがプレミア感を生み、大きな魅力となっています。
恵水の特徴である深い甘さは、少しずつ消費者に浸透してきたように感じます。私の農園の直売所には、恵水に関する問い合わせや「今年もまた食べたい」というリピーターの方々が年々増えています。それには「幻の恵水プロジェクト」が、恵水の価値を広める重要な役割を果たしてくれていると感じていますね。
飯村さん:恵水は数ある梨の品種の中でも、ずば抜けて甘いのが特徴。しかし、いびつな変形果や樹勢を著しく低下させる炭そ病が非常に出やすく、摘果作業が他の品種の2倍も時間と労力を要する農家泣かせの一面もあります。
それでも手のかかる子ほど可愛いもので、毎年、栽培も収穫も喜びは格別。恵水の出荷がスタートした平成28年以来、納得のいく味と形を求め続けてきました。
そして、その苦労が報われ、豊かな果汁とシャリシャリとした爽やかな食感を持つ理想の梨が実った時、梨農家としてこれ以上の幸せはありませんよ。
幻の恵水」の栽培において難しい点は? 工夫していることや、特に大切にしているポイントがあれば教えてください。
松本幸哲さん(JA北つくば)
飯村さん:
県の職員をはじめ、多くの関係者の協力のもとで挑み、地域の仲間達からも多大な注目や期待が寄せられている夢の詰まったプロジェクトです。初代メンバーとして、そして梨農家のプライドを懸けて「やってやるぞ!」と意気込む想いに変わりはありません。
塚田さん:私が恵水を栽培する圃場は、歴史ある下妻市の農家さんから託された大切な場所ばかり。樹ごとに異なる個性があるため、前任者の栽培方法をリスペクトし、剪定や追肥の時期などを踏襲しています。
右も左も分からない中、「幻の恵水プロジェクト」への参加は大きな挑戦でしたが、県の職員をはじめ、多くの方のサポートを受け、初年度は候補となる樹や果実にテープで目星を付けていただきました。
例年の8割にまで着果数を減らしたのですが、正直怖かったですね。それでも「幻の恵水」を一つでも生み出すために、勇気を振り絞りました。
他品種の収穫が重なり、多忙を極める時期でしたが、なんとしても「幻の恵水」を生み出したくて、収穫直前に集中的な灌水を行いました。夜間に気温が下がると肥大が進むという先人達の知恵を取り入れ、夕方に250〜500リットルもの水をやるなど、初挑戦ゆえに攻めの姿勢で臨みました。
候補の果実をチェックしては「これもダメか…」と落ち込む毎日でしたが、それでも水をやり続けたことで、ついに「幻の恵水」が誕生しました。
私の名前が記されたその恵水は、まるでわが子。第一子が生まれた父親のように誇らしく、好物の刺身で祝杯を上げた夜は幸せでした。
松本さん:他の農家さん同様、摘果作業で実を多めに間引き、一玉一玉に栄養が行き渡るよう工夫しています。有機質肥料を主体とした土壌改良材を使い、水はけと水もちの良い土づくりにもこだわっています。
さらに、将来的に実が大きくなったときに棚や枝にぶつからないよう、緩衝材を挟むなど、労力を惜しまず臨機応変に栽培しています。
今年の異常な暑さと雨不足は、限られた期間内で肥大させる「幻の恵水」にとって大きな試練でした。一次摘果で例年以上に実を減らしましたが、今思えば、もっと大胆に落とすべきだったと感じています。
灌水を増やし、追肥のタイミングを早めれば、もっと良い結果が出たかもしれません。自然相手の栽培は思うようにいかないことも多いですが、それでも、最高の恵水をお届けするため、日々、挑戦し続けています。
飯村さん:枝が真上に伸びる。幹が太くて長い。幻の恵水はそんなエネルギッシュな樹で偶発的に実る傾向にあります。そして厳選した樹の着果数を最大限に絞り、1個1個に保護パットで枝や棚の凹み跡やキズを防止します。そうした手間暇をかけて、ようやく1個の「幻の恵水」が収穫できるかどうか、というレベルなのです。
梨農家を継いで11年目、そして「幻の恵水プロジェクト」初代メンバーとして4年目。今年は例年にない雨不足と猛暑の影響で実が大きくならず、過去最大の着果制限を決断しました。過去最も厳しいシーズンとなりましたが、この4年間で培ったノウハウが、苦境にチャレンジする力になったと実感しています。
「幻の恵水プロジェクト」にかける想いを教えて下さい。
塚田祐貴さん(JA常総ひかり)
塚田さん:「幻の恵水プロジェクト」の初代メンバーであり、下妻市果樹組合連合会長の磯山仁さんから託されたバトンを背筋が伸びる想いで受け取りました。
県内最大の梨産地である下妻市の看板を背負い、そして毎年結果を出していた前任者の後を継ぐプレッシャーは相当なものでしたが、一つでも多く生み出そうという強い意気込みで、このプロジェクトに臨みました。
重量、糖度、果皮の色ムラといった厳しい条件をクリアするのは、想像以上に高いハードルでした。傷一つつけずに育てるだけでも大変な上に、全ての基準を満たすことはまさに至難の業。それでも、この挑戦は、梨農家としての大きなやりがいを与えてくれています。
松本さん:恵水は既に高い評価を得ており、収穫前から問い合わせが殺到していますが、全国的にはまだ知る人ぞ知る存在。このプロジェクトを通じて、我が県が誇る特別な梨が全国に広まることを願ってやみません。
このプロジェクトに関わってから、圃場を注意深く観察する意識が身につきました。その結果、病害虫への対策をより早く打てるようになり、農家としてのレベルアップを実感しています。
このプロジェクトに若い生産者がどんどん参加することで、茨城県の梨農家全体のモチベーション向上にもつながるのではないかと期待しています。
このプロジェクトを次世代へ引き継ぐ前に、最高の「幻の恵水」を生み出し、有終の美を飾りたいと思っています。
飯村さん:急激な気候変動に見舞われる自然相手の難しさはありますが、茨城県の梨農家が夢を懸けるこのプロジェクトに、初代メンバーとしてのプライドを胸に挑む姿勢は変わりません。
今年の選果場への出荷もカウントダウンが始まる中、「幻の恵水」を一つでも多く誕生させるため、日々挑戦を続けています。
この一玉に特別な価値があるのは、私たちが注いだ手間と愛情の証。この梨に込めた農家の想いも、ぜひ一緒に味わっていただけたら嬉しいです。
消費者に向けてのメッセージをお願いします。
塚田さん:プロジェクトへの初参加は、大きな責任や覚悟との戦いでした。しかし、この挑戦を通じて、梨農家として大きな成長を実感しています。これからも、偉大な先輩方とともに、県を挙げたこのプロジェクトを盛り上げていきたいです。
もし「幻の恵水」と運命的な出会いを果たせた際には、ぜひその価値ある味を確かめてみてください。
松本さん:「幻の恵水」は、私たち生産者はもちろん、県の職員の方々など、多くの人の想いと努力の結晶です。その背景にあるストーリーも一緒に味わっていただけると嬉しいです。
数々の苦戦を強いられたシーズンでしたが、味は例年と変わらず甘く、後を引く美味しさに仕上がりました。何度でも食べたくなる品質だと自信を持ってお届けします。
私のオススメの食べ方は、冷やしすぎないこと。食べる直前に冷蔵庫で少し冷やすと、恵水本来の深い甘みを一番感じていただけます。
これからも「幻の恵水」への挑戦は続きます。ぜひ一度、お手に取ってその美味しさを体験してみてください。
飯村さん:つい先日、地域の小学生が私の農園に社会科見学で訪れた際、名前を伏せて4種類の梨を食べ比べてもらいました。すると、「甘い!」「美味しい!」と真っ先に食べ尽くされたのが恵水。この出来事を通して、やはり恵水は味や食感が抜群に良く、幅広い世代に選ばれる品種なのだと改めて実感した次第です。
今年は過去4年間の中で、最も栽培が難しい年。もし幻の恵水に出会えたならば、それは“幻”の中の“幻”です。ぜひ、茨城が育んだ特別な秋の味覚を、心ゆくまで味わってください。
※このページの情報は、2025年9月25日時点のものです。
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